028御厩河岸

「御厩河岸」

 (安政四年(1857)十二月 冬の部) 

 

 隅田川に面して幕府の米蔵があり、その北に幕府の馬を飼っていた厩があったので、御 厩河岸といった。

対岸の橋は二番堀の向かいにあった入堀にかかる石原橋(入堀は現在の横 網二丁目と本所一丁目の境にあたる)。

北西にあった浅草寺界隈の入り口にあたり、対岸の 本所からも多くの人がやってきた。

この絵は物悲しい感がある。   

宵の薄明かりに、手ぬぐいのような白木綿をほほかむりして(その端をくわえる)女性が 舳先にたっている。

夜鷹とよばれ、本所石原町の奥、本所吉田町(大横川に近い、現在の石 原四丁目)から来ている。

手ぬぐいのような布の端を<わえるには訳があり、遠景に人物を 描いた作品が多いなか、顔の白粉が目立つことがいっそう哀れを感じさせる。


「東京シティガイド江戸百景グループ」による

浮世絵

江戸時代に成立した絵画のジャンルである「浮世絵」を紹介してまいります。

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