036廓中東雲


「廓中東雲」 

(安政四年(1857)四月 春の部)

    

絵は、東の空が少し紅くなりかかった頃、花魁風の遊女がおつきを2人従えて客を見送っている情景。 

遊女は赤いうちかけを羽織り、黒塗りの駒下駄を履いている。

格の高さがうかがえる。 男達は皆頬被り頭巾で顔を隠している。女は別れを惜しんでいるらしく、後朝の別れの つれなさが感じられる。

また、春の夜明けの風情が情緒深く表現されている。   

絵の手前を横切るのは仲之町の通りで左に進むと大門がある。

奥行方向は角町(スミチョウ)の通りで、 両側には遊女屋が立並び、入口に木戸がある。木戸の左は用水桶。角町通りにはたそや行灯に灯が ともっている。

見送りの女の持つ提灯も明るい。

仲之町通りの柵の中は植桜(植込まれた桜の木)で、 花がほの白い。右手の下草は山吹である。 


「東京シティガイド江戸百景グループ」による

浮世絵

江戸時代に成立した絵画のジャンルである「浮世絵」を紹介してまいります。

0コメント

  • 1000 / 1000