038上野清水堂不忍ノ池

「上野清水堂不忍ノ池」 

(安政三年(1856)四月 春の部)

  

 江戸名所図会には、清水観音堂は「京師清水寺に比して舞台造なり。

この辺ことさらに 桜多し」とある。上野の山は、江戸一番の桜の名所であった。

天海僧正が、大和(奈良)の 吉野山と同じように桜見物ができる場所にしようと、咲く時期の異なる吉野桜、山桜、 八重桜などを植えたので桜の花が絶えることがなかった。

広重の絵も期待に違わず、 舞台の前後に数多くの桜が描かれている。   

舞台からは、不忍池、中島弁財天、本郷台地の大名屋敷を一望できた。

道の両側に茶屋 らしきものが見られる。

堂の向かいには奇妙な枝振りをした松の木があって、人々の目を 惹いていた。

不忍池は「有田屋版江戸名所不忍池」「山本版東都名所上野不忍蓮池」など 広重が好んで描いた題材でもある。 


「東京シティガイド江戸百景グループ」による

浮世絵

江戸時代に成立した絵画のジャンルである「浮世絵」を紹介してまいります。

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