043神田明神曙之景

「神田明神曙之景」 

(安政四年(1857)九月 春の部)

   

東の空も上空はまだ半分うす闇が残り、冷たい清冽な空気が画面から感じられる。

画面 の3人は、岩波本ヘンリー・スミス氏の解説では、「左手から神主、巫女、召使で朝の巡回を始めた ところ」。

人文社の「百景散歩」では「正月元旦の早朝若水汲みの儀式を終えた神官・巫女・ 下男」としている。

馬頭町広重美術館図録では三人を「神主・巫女・仕丁」とする。  

 シンプルな画面だが、ぼかしの技法が空、地面、神主の水干に効果的に使われており、 右二人の着衣の白い部分は布目摺りが施されている。   

広重がどの地点から描いたか。

画面右側は本殿前にあった湯立所の玉垣である。

湯立所 ではお湯を使った占いが行われたという。

本殿と湯立所の間に木立があったことは神田明 神を描いた他の浮世絵や、江戸名所図会からも読取れる。   

茶屋のよしず張りと縁台が崖縁に並んでいる。

柳原土手の柳並木が右に描かれている。 

広重は本殿前の湯立所付近、かなり崖端に近い場所に立って描いたと思われる。 


「東京シティガイド江戸百景グループ」による

浮世絵

江戸時代に成立した絵画のジャンルである「浮世絵」を紹介してまいります。

0コメント

  • 1000 / 1000