047干駄木団子坂花屋敷

「干駄木団子坂花屋敷」 

(安政三年(1856)五月 春の部) 

  

林に囲まれた高台には、渡り廊下が付いた三階建てが建つ。

これは「絵本江戸土産」から、 紫泉亭と特定できる。

眺望を楽しむ人も8人が数えられる。

その手前、源氏雲の向こうに 崖を上る急な石段状の坂が見え、途中に亭や石灯籠も配置されている。  

団子坂そのものは絵の中になく、絵の右側にあたる。  

 源氏雲の下、近景は満開の桜を楽しむ人びと、子供連れもいる。

多くの床几がしつらえられ、 休む人、座って桜を愛でる人などが描かれている。   

手前の水面については、谷底を流れる藍染川という説もあるが距離的に遠く、また川沿いに 桜があったとの記録もないので、花屋敷の園庭にあった花菖蒲の池と考えるのが妥当であろう。

 明治9年(1876)の「明治東京全図」では、このあたり崖下に池や水路が存在するそうだ。

 花菖蒲の池や小川の名残であろう。 


東京シティガイド江戸百景グループ」による

浮世絵

江戸時代に成立した絵画のジャンルである「浮世絵」を紹介してまいります。

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